先週末、久しぶりに夏日が戻ってきた。
と言っても30度を切る爽やかな夏の終わりを感じさせる午後。
パリより晩い夏休みで帰国している友人の歓迎会に呼ばれ、横浜の部屋から抜け出し都内に戻って来た。
予約された小料理屋は紹介制。
カウンターの中に健康的だがどこか艶やかな和装姿の女性が数人。
一見、ガールズ・バーのような設計だが大きな窓から傾きかけた西陽が射しこむ明るい和食屋、パリ在住のフォトグラファーTを囲んで日本の季節の味覚を食する夕べ。
だからそれとなくその日はフレンチアイビー気分。
帽子は随分昔トロントで手に入れたBIGS XIP。
コットン・ジャケットはいつかのPRADA。
シャツはパリ、サンジェルマンで見つけたagnes b.
コムデギャルソンのショーツはドーバー・ストリート・マーケット@ロンドンで。
MCMのスニーカーはソウルの清潭洞で。
トートは[email protected]ホノルルで手に入れた。
エッフェル塔がアクセントのアンティーク・リングはグリニッジヴィレッジ@N.Yで出会った。
土台の部分が錆び付いていたのでunikk:RirecoDiteのHiromasa Kanaiに作り直してもらう。
http://www.rirecodite.com/
かつては日本はもとよりいろんな国で衝動買いを繰り返した。
目当てのモノを探しに探しまくり日が暮れた事もある。
既に廃棄してしまったモノもあるが今もここに残るアイテムにはひとつひとつ思い出が宿る。
さて、のっけから黒糖焼酎「れんと」でこの季節初めての松茸を頂く。
Tが言うにはパリもテロ以降、警戒態勢が強化され、いたるところに警察官が配備されているとのこと。
しかしながら人災はどこにいても起こる可能性があるわけだから、本人のパリでの日常は神経質になることもなく以前と変化ない日々を送っているそうだ。
「明日は明日の風が吹く」(Demain est un autre jour.)Tの口癖。
なかなか真似の出来ない彼の旅するような生き方が羨ましい。
パリ、ずいぶんご無沙汰している。
フランスに行ったのは何年前だろう?
もう4~5年は経っている。
カンヌ映画祭に招待された際、数日パリに滞在したのが最後だ。
あの時、初夏のカンヌとパリは連日晴天に恵まれ至福な気分を味わった。
以前は毎年のようにカンヌやニース、コートダジュールを訪れていた。
そしてノルマンジー、ドーヴィル、ベルギー近くの田舎町ドゥエ。
あの輝くようなエネルギッシュな時代、僕の人生に関わった仕事仲間、友人や恋人達の事を懐かしく振り返るとなんだか涙が出そうになる。
人はその良き時代を見過ごしている。
能力と体力を過信し人生の終幕を思いもしない。
あと何回フランスに行けるかな?
今を乗り越えたらまた旅に出よう。
出逢いはその場所で不意に訪れる。
チャンスなんて石ころのように転がっているのかも。
行き当たりばったりで散財しよう。
時には飽食も。
そして何年か後、今日を振り返り、またその時代を愛しむ。
そんなことを考えながら、そんなことを言い訳にして今日も命を削りながら酒が進む。
やがて街に帳が降りて小料理屋を後にする。
そしてもう一軒紹介制のワイン・バーに流れる。
仕上げはボルドー。
「ラ・モンドット」ヴィンテージ1975年もの。
まだ見ぬ彼の地を夢見た「ふたりでPARISに行こう」を口ずさみながらコルクを抜く。
若く、貧しく、無名時代の山崎まさよしが書いた歌。
ROCKER AND HOOKER http://www.rockerandhooker.com/
人気blogランキングへ ☜ランキング参加中!1日1クリックご協力お願いします。
コメント