90年代前半、G-SHOCKが世界的ブームになった背景にはスティングやエリック・クラプトンが使用したということも大きな要因だと思う。
当時、僕はあのデジタル表示の文字盤にどうも馴染めず、G-SHOCKはリストウォッチとしては興味の対象外だった。
つまり相も変わらず機械式のものを使用していたわけだ。
実はこの時点でG-SHOCK「AW-500」というアナログヴァージョンが存在していたことを僕はまだ知らなかった。
ところが1996年、ユナイテッドアローズからG-SHOCK「AW-500」別注モデルなるものがリリースされそのフォルムに魅かれた。
マットなブラックボディにユナイテッドアローズのブランドカラーであるオレンジの指針やパーツ。
そして何よりもその搭載されている多機能を改めて知り、初めてG-SHOCKに手を出してしまった。
90年代中盤から海外での仕事が増えたこともあり、思えばこのG-SHOCK「AW-500」は様々なストレスを解消してくれた。
渡航先の空港に到着するとまずこのリストウォッチのアナログ指針を現地の時刻に合わせる。
そして小窓のデジタル表示を日本の時刻に合わせれば瞬時に二つの国の時刻が判断できる。
そのDUAL TIME機能は大いに役立った。
まだ、PCでのインターネットも普及しておらず携帯電話さえその仕様はドメスティックなものでそれぞれの国に合わせてレンタルしていた時代である。
時差が生じる二つの国での連絡ツールはFAXと国際電話が中心。
常に相手国の時刻を確認しながらやりとりをしていたわけだから。
その他、タイマーやアラーム、ストップウォッチは仕事現場で。
そしてワールドタイム機能含め、G-SHOCK「AW-500」は20世紀末〜21世紀前半、僕の海外渡航ではコンパクトな必需品として随分活躍してくれた。
例えば2001年夏、僕はハワイで過ごしていた。
あの9.11NYテロが起きたのは帰国寸前だった。
ハワイは瞬く間に封鎖され日本への帰国が見えない状態になった。
ハワイの後、ロンドンでの仕事も控えていた。
結局1週間近くホノルルに閉じ込められたわけだがこの間NYの状況を見つつホノルル、ロンドン、東京間でのやりとりはワールドタイム機能が大いに役立った。
やがてPCや携帯の進化とともに他国間とのやり取りは劇的にスムーズになって行く。
それに伴い2002〜3年あたりから僕は再び機械式リストウォッチを常用、長い間「AW-500」は時計ケースに仕舞われたままの状態が続く事となる。
昨年の夏、なんだか急にこの「AW-500」を使用してみたくなった。
コロナ禍でリモートワークが続く中、今やPCとスマホがあれば海外とのやり取りも事足りる。
そんな時、ふとあの良き時代のアナログ海外渡航を思い出したからだ。
で、ご無沙汰していた「AW-500」は当然の如く電池切れの状態。
取り敢えずアローズ本店経由でCASIOまで電池交換を依頼するも裏蓋を外してみると劣化した電池が液漏れを起こし本体内部まで侵食。
多くのパーツを錆びつかせてしまっているとの連絡が入る。
しかも古いモデルであるがゆえ今やこのモデルのパーツは廃版状態。
そう言われると急にこのモデルが愛おしく思えてくる。
自分の怠惰な「AW-500」保管状態を嘆いてみても後の祭りである。
ところが数日後、アローズのT君から11月に「AW-500」がフルメタルボディで復刻されるとの連絡が入る。
しかもソーラー機能仕様で様々な機能がヴァージョンアップ。
海外渡航の際にもスマホ同様に自動的に現地時刻へと修正されるとか。
怠惰な僕向きのアイテムであることに間違いない。
たかがモノとは言えどもなんとなく以前の「AW-500」に申し訳ない気持ちになる。
だが、この不思議な偶然の復刻を思い結局復刻ヴァージョンを取り置きをしてもらうことに。。
で、これがその本体である。
フルメタルゆえ以前のものと比べるとズシリと重い。
ソーラー仕様ということもどこか僕には目新しい。
だから自分へのビタミンD補給も兼ねて日光浴充電なんかさせている。
このリストウォッチを眺めていると無性にあの頃が懐かしい。
そしてこの1年半近く控えている海外渡航への気持ちが駆り立てられる。
飛行機のシートでくつろぎながらワインをオーダーしムービーチャンネルで観たいものを探しながら彼の地を目指す。
うーん、しかし一体いつになったらそんな日は戻って来るんだろうか?
この世界の復刻、いや復興はいつになるのか。。
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